HACCP義務化の流れが、食品業界を賑わせています。
大手食品メーカーなどは、これまでHACCPやFSSC22000に取り組んできたこともあるかと思うので、この義務化についても十分対応可能かと思いますが、そうでない組織についてはおそらく何をすべきかも今ひとつ分からない話です。
そこで本記事ではHACCP義務化の経緯について解説したいと思います。
HACCPの義務化の背景
時代が移り変わり、私たちを取り巻く環境や、食品に求められる安全性も様々な事件を通じて大きく変化してきました。
最近特に大きな変化と言えば何といっても東京オリンピックの開催と食品形態の変化でしょう。
これらを機に食品衛生法が改正されたのです。
2018年の食品衛生法の改正がきっかけ
きっかけは食品衛生法の改正ですが、一体その項目がどこに書かれているかといいますと、50条に書かれています。
第五十条の二厚生労働大臣は、営業(器具又は容器包装を製造する営業及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業(第五十一条において「食鳥処理の事業」という。)を除く。)の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。
一 施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。
二 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者(器具又は容器包装を製造する営業者及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第六条第一項に規定する食鳥処理業者を除く。次項において同じ。)その他の政令で定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。
営業者は、前項の規定により定められた基準に従い、厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない。
食品衛生法 第五十条
HACCP義務化により、より安全な食品の提供が求められている要因の1つに、
免疫力の低い高齢者が増えたということがあります。
これまでは、電子レンジで温めただけで食べられる食品はそう多くはなかったのですが、今となっては当たり前です。
コンビニの棚を見てもわかるとおり、開けてすぐ食べられる商品や電子レンジで温めてすぐ食べられる商品が昔より増えたと思いませんか?
すぐ食べられると言う事は、加熱調理などをせずに食べると言うことです。
つまり、コンビニの店からお客さんが手に取った段階で既に安全でなくてはならないのです。
こういった安全な食品を、全数検品せずに世の中に提供するシステムがHACCPシステムなのです。
東京オリンピックの開催
2021年に延期になり、開催も若干怪しくなってきた東京オリンピックですが、これもHACCP義務化に拍車をかけたことは事実です。
東京オリンピックでは、来るのは選手だけではありません。
選手の他に大会関係者(トレーナーや協会の方、選手の家族など)や世界中の観客を含めると1000万人が来日すると予想されています。
気温と湿度が尋常でなく高い日本の夏に海外の方々は驚かされることになると思いますが、それ以上に問題なのが
真夏の食事提供です。
8月は食品にとって最も食中毒の危険性が高い時期で、日本の食品メーカーはその時期に通常よりも多くの食品を提供する必要があるのです。
私自身過去にクレームの分析をしていた時がありますが、メーカーでも店舗の管理でも、ちょっとしたことで事故につながりかねない事態が発生するのは決まって夏です。
食品の提供には中小企業の協力が不可欠
ここがポイントです。
HACCPは大手食品メーカーだけ出来ていればいいのではなく、日本全国の食品メーカーが取り組んでおかないといけないのです。
理由は、この1000万人という大人数に食事を提供するのであれば、食品の大量製造に慣れた大手食品メーカーの生産能力だけでは提供が間に合わないからです。
そうなるとHACCPやFSSC22000に慣れていないメーカーであっても取り組まなくてはいけなくなりますよね?問題はそこなのです。
そんな状況に対応すべく、オリンピック組織委員会では以下のことを提唱しています
「自主的衛生管理 」、「行政機関との協力」、「食品防御」、「法令順守」
この中には「食品提供者にもHACCPによる衛生管理を求める」という記載がされており、2020年6月から導入と言われてはいるものの実際は準備に既に取り組んでおく必要があります。
既に導入期間に入っていますので、徐々に組織に浸透させていきましょう!
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