今回は医薬品業界や食品業界に必ずと言っていいほど登場するFDAについて解説しようと思います。
コロナワクチンの関係もあり最近何かと登場するFDAですが、
世界中でむちゃくちゃ影響力を持った組織です。
FDAの発言がある製薬会社の株価に大きな影響を及ぼしてしまったことは話題になりましたが、製品がFDAに認められたものか否かはその商品の販売範囲を決めるにあたり極めて重要になります。
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FDAとはFood and Drug dministrationの略で、「アメリカ食品医薬品局」という名称で、1906年に創設された機関です。
日本で言うと厚生労働省と農林水産省を合わせた様な絶大な影響力を持つ組織です。
具体的にFDAは食品と医薬品の販売・流通の許可や取り締まりといった行政を専門でおこなっている機関です。
日本では厚生労働省がアメリカ版FDAといわれていますが、管轄している部門は医薬品と労働、福祉であり、食品に関しては農林水産省が管轄しているのが日本の現状です。
FDAのミッションとして「医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性・有効性、医療品や食品を使用する際に正確で科学的根拠に基づいた情報を入手できるようにすること」とされています。
さすがHACCPを作った国だけあり、「科学的根拠に基づいた情報」って辺りが非常に理論的です。
ちなみにタイの食品医薬品局もFDAと呼ばれています。頭文字をとると良く起きる現象ですね。
アメリカは世界最大の医薬品マーケットであることは既にご存じの方も多いかと思います。
市場が大きいということはこれまで蓄積してきたの知見も莫大ということです。
FDAはその全てを管轄しているので科学的根拠に基づいたデータをたくさん持っているのです。
FDAはその絶大な影響力と圧倒的な知見力から、FDAで承認された医薬品は日本でも承認されやすいですし、日本で承認が下りづらかったものでもFDAで承認されれば日本でも承認されるケースは極めて多いのです。
かつてエーザイがアルツハイマーの薬を開発した時に、FDAがその効果についてコメントした時に大きく株価が動いたのは印象に残った方は多かったと思いますが、それだけ医薬品の承認を始め、影響力がある組織です。
日本で医薬品を開発しようとすると、動物実験を始め膨大なデータが必要になってしまいます。
その為通常であれば医薬品の認証には早くても1年近くかかります。
しかし、FDAで承認された薬であれば日本でも特例承認として承認を早めることが出来るという裏技もあります。
特例承認の例としては、以下の例が挙げられます。
それは、日本では厚生労働省の認可が下りずに使えなさそうな医薬品でも、世界では認められている場合です。
ここでいう世界とはアメリカ、カナダ、ドイツ、フランスを指します。どこの国であっても「世界」に該当するわけではないのです。
今回のコロナワクチンはまさにそうでしたよね。
FDAの中でも新薬の承認審査をするのはCDERという組織、米国で医薬品を販売するにはCDERの許可が必要です
FDAから認証を受けるということは、日米両国における薬機法や食品衛生法に違反しておらず、適正な商品であることを許可してもらうということになるのです。
次にFDA承認の対象品です。以下の通り結構あるんですよね。
・食品
・飲料
・化粧品
・医薬品
・放射線放出装置
以上の5つに分けられています。
特に食品についてはかなり多く、ほとんど思いつく全ての商品が該当します。
・果物・野菜
・魚
・乳製品
・卵
・食品成分として使用される未加工農産品
・飼料
・ペットフード
・飼料添加物
・栄養補助食品
・乳幼児調整乳
・飲料
・生きた食用動物
・パン製品
・スナック菓子
・砂糖を使用した菓子
・ガム
・缶詰食品
・たばこ製品
が指定されています。
化粧品については、内容によってFDA認証が必要なものとそうでないものに分類されます。
一般化粧品ではFDA認証は必要ないですが、薬用化粧品ではFDA認証が必要になります。
薬用〇〇と書かれている商品はFDA認証の対象となり、勝手に売り出してはいけないのです。
つまり企業でサプリメントを開発・製造してアメリカに輸入する際は、事前にFDAに通知をしなくてはならないのです。
次にFDA認証の具体的手順についてですが、食品を例にとってみると以下の様になっております。
・製造施設の登録
・アメリカ側の代理人の指定
・商品ラベルの英語化
・食品安全計画の策定
・事前通知
これらがまず必要になります。
結構手間がかかるので、外部の組織に認証をアウトソースする組織もあり、専属のコンサルも存在するくらいです。
以下でその内容について紹介します。
まず製造設備の登録についてですが、アメリカで消費される食品や飲料は製造・加工・包装・保管に関わる全ての施設をすべて登録する必要があります。
アメリカで販売される食品にはFDAに承認された方法による栄養分析の結果を表示するラベルを張らないといけないルールがあります。
記載する項目にもルールがあり、5つの項目「食品表示必要要件」「食品名」「賞味内容量表記」「成分リスト」「強調表示」においてFDAの規則に則ったラベル表記が必要になってきます。
アメリカに行かれたことのある方はよく目にするかと思いますが、日本と同じ商品でも表記が日本と異なるのです。言語が異なるのは当然ですが、表示する内容も日本とは異なっているのが分かると思います。
次に事業所内の食品安全計画についての確認があります。
工場内の製造で使用する調理機器など食品に直接触れるものや、使用する食品添加物や着色料についても基準が設けられています。
このあたりは一般衛生管理プログラムの確認の様なもので、食品工場として然るべき衛生環境である必要があるということです。
最悪の場合懲役を科されることがあります。
アメリカは何といっても訴訟大国なので法規上のリスク管理については日本よりも盤石です。
FDA認証を取得していないのに販売されているものは、行政指導も入りますし、商品を差し押さえられることもあります。
場合によっては訴訟さえもされることがあるのです。
今回は私たちがよく耳にするFDAについて解説してみました。
医薬品や食品関連のメーカー働きや日本との関係性について把握しておいた方が良いますので、ぜひ情報をとってみてください。
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