国内でもHACCPが義務化されるなど、食品事業者は食品安全に注意を向けざるを得ない状況になっています。
食品製造者であれば、食品原材料をどこかから仕入れているはずです。
そしてその選定基準に仕入れ先が何かしらの認証を取得しているか否かを確認することは多いかと思います。
特に最近は仕入れ先がISO9001やISO22000、FSSC22000など第三者機関により食品安全システムを認証された組織であるかを気にされる組織は多いのではないでしょうか?
そんな仕入れ先の基準については農業についても基準があり、GAP認証というものが存在します。
今回はそんなGAP認証について解説致します。
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本記事は以下の方を対象にしています。
・GAP認証について知りたい
・GAP認証を取得するメリットについて知りたい
・GAP認証を取得するにはどうすればいいのか?
以下で解説していきます。
GAP認証とはどの様なものか?
まずGAP認証の定義についてです。
GAP認証を簡単に解説すると農作物の品質を向上させたる為の仕組みです。
品質の良い農作物を作るための農業工程を第三者機関により審査・認証してもらうことでより良い農業経営を目指すというものです。
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GAPは「Good Agriculturai Practice」の略で、農業生産工程管理のことです。
農業従事者自らがGAPの仕組み構築をしたり、第三者機関による審査を通じて、農産物の安全を確保してより良い農業経営を目指すものです。
O-157による集団食中毒をきっかけに国内ではHACCPなどの食品安全規格が食品製造工場などで浸透していますが、食品安全システムの農業バージョンと考えて良いでしょう。
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HACCPは食品製造工場に導入することで、導入前よりも安全性の高い食品が製造できます。
GAPも同じように取り組むことで作物の品質向上だけでなく、農業経営の改善・効率化を進めることができますし、食品安全・環境保全・農業従事者の労働安全にも繋がるのです。
GAP認証を取得するメリットについて
次にGAP認証を取得するメリットについてです。
食品工場で取得されることが多いISO22000やHACCPと異なり、GAPは農業従事者にとって管理の目標とされることが多いです。
つまり認証の取得まではせず、農業従事者が自発的にGAPの仕組みを取り入れようとすることがあるということです。
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確かに食品安全を自ら目指す工場が何をモデルにしたらいいかと考えたら、やはりHACCPなど既に確立されたシステムに沿って構築していくのが近道です。
この様に自らGAPの基準に向けて準備することは素晴らしいことですが、その組織のことを知らない第三者からしたら何かしらのお墨付きが欲しいところですよね。
農業従事者の販路拡大やPR効果などを考えると、第三者機関によりGAP認証を得るのが良いでしょう。
これは審査を受診しなくてはならないので面倒なのですが、一度認証を取得すれば第三者機関によるお墨付きをもらえるので非常に有益です。
上記のメリットだけでなく、GAPを農業従事者が自己流で行ってしまうことにもならないので、GAPの正しい手法を審査を通じて得ることが出来るのです。
その結果、
・農作物の品質向上
・不要な在庫の減少
・農作業事故の減少
・従業員の責任感や自主性の向上
に繋がるというわけです。
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HACCPにはCCP以外に前提条件として盤石すべき「一般衛生管理(PP)」がありますが、GAP認証にもこれに似たシステムがあります。
例えば「農作物や包装資材の近くに汚染物などを放置しない」、「農場に廃棄物を置かない」など基本的なものがあります。
GAP認証の種類について
次にGAP認証の種類についてです。
第三者認証によるGAP認証には
・JGAP(一般財団法人日本GAP協会)
・ASIAGAP
・GLOBALGAP(FoodPLUSGmbH)
があります。
以下で解説して行きます。
GAP認証の種類①JGAP(一般財団法人日本GAP協会)
GAP認証のひとつにJGAPが挙げられます。
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これだけ様々な種類のあるGAPですが、特にJGAPは日本初の国際水準の認証規格として2007年11月から第三者認証がスタートしました。
農林水産省が主体となって導入を推奨しています。
JGAPを取得するメリットとしては
・適切な農場管理により、食の安全が向上する
・農場管理により環境保全、労働安全が向上する
・農場の業務が効率化して、経営改善や品質向上、技術の継承にも役立ちます
・バイヤーに信頼できる農場だとアピールできる
・産地ブランドづくりにも役立つ
といった内容が挙げられます。
GAP認証の種類②ASIAGAP
GAP認証のひとつにASIAGAPが挙げられます。
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ASIAGAPはJGAPADVANCEの改訂版として2017年に発表されたものです。
審査時のチェックポイントがJGAPよりも多く設けられており、通常のJGAPが130であるのに比べて、ASIAGAPは170のチェック項目があるのです。
またASIAGAPは食品安全については比較的HACCPに近い内容が審査で問われます。
具体的には食品防御、食品偽装への対応や、アレルゲン表示やアレルゲン物質の交差汚染対応などです。
GAP認証の種類③GLOBALGAP
グローバルGAPは世界120か国に普及している規格で、事実上の国際水準とされています。
具体的には食品安全、労働環境、環境保全に配慮した活動を行っている企業に与えられるブランドです。
現在どこの会社にとっても課題となっているSDGs「持続的な生産活動」に沿った活動を行う優良企業にのみ与えられるものです。
まずはJGAPにチャレンジしてみよう!取得の流れは?
より良い農業経営を目指すのであれば、日本の国際水準規格であるJGAPからチャレンジしたいところです。
JGAPの認証を受けられるのは、個人農家(個人事業主)や農業生産法人など一つの農業経営体かJA等の生産者団体だけです。
ではこのJGAPですが、どういった流れで認証取得できるのでしょうか?
具体的には
・自組織と基準書のギャップを把握する
・実際に適合基準に則って農場を管理してみる
・改善点を改善する
・審査申請する
・指摘された不適合の是正
・審査の結果を確認
以下で解説して行きます。
取得の流れ①自組織と基準書のギャップを把握する
JGAP取得の流れとして、自組織と基準書のギャップを把握することです。
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JGAPの基準書に書かれていることで、まずお金をかけずに出来ることを増やしていくイメージです。
この基準書自体も様々あり、青果物、穀物、茶、家畜、畜産物に分かれています。
取得の流れ②実際に適合基準に則って農場を管理してみる
JGAP取得の流れとして次に行うのは、JGAPの適合基準に沿って農場を管理するということです。
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実際に管理を始めると、不足している部分だけでなく、余計な管理をしている部分など(作業手順の重複など)が見えてきます。
不足しているものは足し、余分なものはここで削除して無駄をなくして行きます。
取得の流れ③改善点を改善する
JGAP取得の流れとして次に行うのは、②で見つかった改善点を改善して行くことです。
実際に審査をするに当たり、改善点がそのまま残っていると不適合になってしまいます。
時間とコストの無駄にもなるので、審査で確実に認証取得できるように不適合の指摘を受ける可能性がある部分については修正していきましょう。
取得の流れ④審査申請する
JGAP取得の流れとして次に行うのは、審査の申請をすることです。
ここまで来て初めてJGAP審査に申請して審査を受診する段取りを立てます。
耐性が整っていないのであれば審査の受診は先送りにして、農場の体制を盤石にしておきましょう。
取得の流れ⑤指摘された不適合の是正
JGAP取得の流れとして次に行うのは、指摘された不適合の是正です。
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審査で指摘された不適合項目を是正します、是正報告書を認証機関へ送付します。
猶予期間が設けられるので、確実にその日程い遅れないように注意しましょう。
取得の流れ⑥審査の結果を確認
JGAP取得の流れとして次に行うのは、審査の結果を確認するということです。
JGAPの審査では必須項目は100%適合、重要項目は95%以上適合する必要があります。
認証を取得できたのであれば次の課題に取り組むべきですし、認証取得できなかったのであれば足りなかったところを補い、再度受診する準備を整えましょう。
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まとめ
今回はGAP認証の内容やメリット、取得の流れについて解説させて頂きました。
JGAPの認証は増加し続け、2008年に300農場程度だったのが、2018年3月末には4213農場が認証を取得しています。
取得することで海外への販路も拡大するので、これから農業を本格的に頑張るのであれば取得する価値は絶対にあるでしょう。
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