今回はISO22000について、その特徴と2018年に行われた改定内容について解説致します。
改正されたのにはそれなりの理由があり、現代の世界情勢から食品安全に必要な内容が盛り込まれていますので、注目しておいて損はないでしょう。
本記事は以下の方を対象にしています。
・ISO22000の内容について知りたい
・ISO22000:2018の改定内容について知りたい
・ISO22000取得をオススメする企業はどんなところ?
以下記事で解説して行きます。
Contents
食品工場にいると耳にするISO22000ですが、これはマネジメントシステム規格のことです。
スイスのジュネーブに本部を置く国際標準化機構が策定しています。
一般的にFSMS(食品安全システム)と総称して呼ばれているもののことです。
ISO22000はまだ歴史が浅く、最初に国際規格として発行されたのが2005年9月です。
そこから不足している項目やFSSCなど他のマネジメントシステムの台頭など様々な洗礼を受けながら内容をアップデートしており、最新版は22000:2018です。
ISO22000の要求事項の及ぶ範囲は広く、食品メーカーの製造工程だけには留まりません。
原材料を提供する一生産者から運送業者、飲食店までが対象で、これまで食品メーカー内部での製造工程の安全性だけにフォーカスするのではない食品安全システムなのです。
ISO22000の基本構造はISO9001とHACCPを組み合わせたもので、組織的なマネジメントシステムと食品安全の仕組みの両方を構築するものです。
特に食品安全の核となる要求事項は8項の「運用」に含まれ、この8項にHACCPに関する具体的な食品安全の仕組みが規定されているのです。
よってこれまでHACCPのみに取り組んできた組織にとってはISO22000は非常に取り組みやすいというわけです。
これまでHACCPの構築はしたものの、企業風土的にどうもうまくHACCPが機能していないなと思う組織ほどISO22000へ取り組むのはオススメできます。
ISO22000は時代の流れに応じてアップデートされます。
皆さんも日頃生活していて感じるかと思いますが、私たち個人や会社を取り巻く環境って以前より大きく変わってきましたよね?
現在流行している感染症も時代背景のひとつですし、現在ある様な高齢社会もそうです。
こういった変化が激しい世の中で食品安全を守る手段としてISO22000を有効に活用したいのであれば、その要求事項は時代に沿った新しいものでなくてはなりません。
もちろんこれまでもISO22000はアップデートしてきました。
具体的には以下の通りです。
・ISO22000:2005では要求事項として弱い部分があった
・新しく22000:2018が完成する前にFSSC22000が国際規格として登場
・ISO22000:2018はそれをしのぐ最高峰の規格として生まれ変わった
現在まではこういった流れです。
食品安全を守る仕組みは日々更新されていますが、それだけ食の安全を守ることは大変なのです。
先に解説した高齢社会の例をとって食品安全について解説すると、お年寄り向けの商品はどうしても喫食前に調理せずに食べることができる喫食前非加熱商品が求められます。
火を使う必要がないので非常に便利ですが、逆に言うと食べる直前に加熱してもらえないので食中毒のリスクは高いということになってしまいます。
便利さと食品事故は隣り合わせなのです(汗
また、日本は食料自給率が40%と低く、どうしても海外の原材料を使用せざるを得ません。でもどういった環境で作られた原料なのかが分からないというのはリスクなんですよね。
そういった意味でもより安全な食品製造が必要で、その仕組みづくりにISO22000やFSSC22000を利用するのは有効な手段です。
つまりこれらの国際標準化機構の要求事項を利用して自組織の食品安全に対する耐性を確認するというわけです。
ISO22000:2018で改定された内容については以下の内容が挙げられます。
・HLS(ハイレベルストラクチャー)の導入
・リーダーシップの要求事項の強化
・PDCAサイクルの運用強化
・リスクに基づく考え方の強化
以下で解説して行きます。
ISO22000:2018で改定された内容としてはHLS(ハイレベルストラクチャー)の導入が挙げられます。
難しい言い方ですが、簡単に言えば章立てを他のマネジメントシステム規格と揃えたということです。
マネジメントシステム規格の核となるのはISO9001であり、ISO22000はこのISO9001の内容を含んだものとして作られました。
そうであれば当然章立てもISO9001と同じものになりそうですが、これが全く違ったんです。
これでは分かりにくいということで、章立てを9001と同じ様に合わせることで、規格要求事項全体を分かりやすくしました。
これがHLSの導入です。
ISO22000:2018で改定された内容としてはリーダーシップの要求事項の強化が挙げられます。
数ある要求事項の中でリーダーシップの要求事項を強化した理由は、食品事故の原因がリーダーシップの欠如によるケースがこれまであまりにも多かったからです。
これまで発生した食品事故の詳細は以下記事でも解説しています。
220002018からはリーダーシップについての細かな要求事項が設けられたのは、こうした経営者のモラル低下による食品の不祥事に対処する為です。
ISO22000:2018で改定された内容として、PDCAサイクルの運用強化が挙げられます。
具体的にはISO22000の規格要求事項の中で、「運用計画及び管理」、「組織の計画及び管理」についてPDCAを回すように要求事項で決められています。
つまり食品安全のPDCAと組織的なPDCAの両方を回すように要求されているのです。
ISO22000:2018で改定された内容として、リスクに基づく考え方の強化が挙げられます。
元々ISO9001の審査などでは必ず審査の序盤で審査員に確認されることですが、これがISO22000:2018の要求事項では強化されています。
要求事項では具体的に組織にリスクに対する取り組みを計画して実施するように要求しているのです。
リスク対応することで組織が好ましくない状況下で的確な管理が出来ることを狙いとしています。
以上が220002018で重要視された部分です。
今回はISO22000について、その特徴と現在のISO22000:2018年版になるまでの流れや改定内容について解説してきました。
組織立てた食品安全作りにISO22000は効果的なので、既に自社で構築したHACCPシステムに不安があるという方は是非とも取り組んでみましょう。