「だし」と言えば最近の人で思い浮かぶのはラーメンのスープかと思いますが、私たちの食生活にダシは欠かせません。
日本だけではなく世界でも「ブイヨン」「スープストック」「湯(タン)」など、呼び方は違うものの多くのだし文化があります。
本記事では「だし」について、その起源について解説致します。
本記事では以下の方を対象にしています。
・だしの歴史について知りたい
・だしの利用方法について知りたい
・各だし素材の特徴について知りたい
以下記事で解説して行きます。
Contents
冒頭でも解説しましたが、世界では様々な料理に「だし」が使われます。
基本的な使われ方は、原材料のうまみ成分をに出して抽出するというものです。起源を辿ると縄文時代に発明された土器の登場がだし文化の発展に大きく寄与したと言えます。
土器に様々な食材を入れて煮込むことで旨味成分が水に溶けだし、それがスープとなったのです。
そこから様々な料理に派生して、
・日本料理の「だし」
・中華料理の湯(タン)
・西洋料理のスープストックやブイヨン
こうしたスープ文化が誕生したのです。
日本でもだしはかなりなじみ深い存在です。みそ汁に使われているだけではなく、食材のうまみを引き立てる為にスープ料理以外にも隠し味として多く使われています。
日本のだし素材といえば、
・鰹節
・昆布
・煮干し
・椎茸
が挙げられます。以下でその特徴について解説して行きます。
日本のだしと言えば鰹節がまず思い浮かぶのではないでしょうか?
鰹節は荒節の厚削りなど、そのまま食べることが出来る食材でもありますが、湯で抽出することで繊細で深みのある味を出すことが出来ます。
「最も硬い食材」として世界的にも有名で、フランス料理でも使用されることがあります。
家庭用の鰹節も多く流通していますが、本物を味わいたいのであれば京都などの料亭が思い浮かびます。こういったところでは店ごとに配合は極秘とされており、店主は板前にも鰹節は削らせなかったと言います。
削りの厚さや、鰹節を投入するタイミング(湯の温度、抽出時間など)は厳密に決められており、店の味を特徴づける大きな要素です。
鰹節はだし文化の根強い関西地方で流通量が多く、日本の産地である高地・鹿児島・静岡から出荷されてきました。讃岐うどんの影響とも相まって関西と言えばだし文化という印象を持つかは多いかと思います。
但し、中国地方は西日本に位置しながら鰹節の文化は少なく、煮干やアゴのダシが鰹節よりも強く根付いています。
私も讃岐うどんを食べに行った時にそのパンチのあるダシに驚いた記憶があります。
また鰹節と言えば沖縄でも多く使われています。沖縄そばなどを食べると分かるかと思いますが、鰹だしがハンパないです。
これは当初日本から輸出される鰹節の中継地が沖縄であったことが由来で、沖縄の食文化に深く定着して、全国一の鰹節消費地なのはこのためです。
また、最近では料亭の様な繊細な味だけでなく、ラーメンにも使用されています。
だし汁に使用されることもありますが、かえしと合わせたラーメンに魚粉をそのまま入れる場合もあります。
日本のだしで鰹節と併せて認識されているのが昆布です。
昆布は大きく分けて
・真昆布
・羅臼昆布
・利尻昆布
・日高昆布
に分類されており歴史の古い食材です。また食材として利用されることも世界的に珍しく、海外では昆布をだしとして使用することも食べることもありません。
日本独特の食材と言えます。
だし取り用であれば北海道の利尻昆布が良いとされていますが、だし取りに羅臼昆布を使用する場合もあります。
肉厚で色が黒く、比較的昆布本体の幅が狭いものが良いとされています。
記録によると、江戸時代に船で大阪に運ばれていた文献が残っている程度で詳しいことは謎に包まれた食材だったりするのです。
上記の産地以外の分類としては、緑藻、褐藻、紅藻の3種類あり、全部で13種類が知られています。
日本のだし素材には煮干しも忘れてはなりません。
小型のカタクチイワシを食塩水で短時間煮熟したのち、水切り・乾燥を行ったものでだしの素材として使われます。
煮干しは「イリコ」とも呼ばれます。
煮干しにはイワシやアジ・サバなども原料として使用されることがありますが、一般的にはイワシを指します。
日本で煮干が流通したのは五島列島や紀伊半島で、これらの地域ではあまりにもイワシが取れる為、その利用方法が考えられてきました。
その中で最もヒットしたのはホシカの製造です。ホシカとは肥料のことで、江戸時代以降は肥料として栄養価の高いホシカは多く流通しました。
だしとして注目されたのは、鰹節の代わりとして注目されたことです。当初高級品だった鰹節や昆布と比較して安価で、少量でパンチの効いたダシが取れるからです。
日本のだし素材の1つに椎茸もあります。
ラーメン屋やだし作りでは一般的ですが、旨味を引き立てる立役者です。椎茸は大きさ、形状、色沢、採取時期により名前が異なり、どんこ(冬菇)、こうしん(香信)などと分類されます。
旨味の相乗効果を狙いたい時には、鰹節や昆布と併せて利用します。
次に中華料理のだし、「湯(タン)」についてです。
湯(タン)とは、中華料理に使用されるスープのことを指します。
中華スープと言えば、私なんか王将の餃子と一緒についてくるあのスープや、ウエイパー(味覇)をイメージしてしまいます笑。
この中華スープですが、実に様々な中華料理に使われ、スープの種類自体も細かく種類分けされています。
まず、色が澄んでいるか否かの分類があり、清湯(チンタン)と白湯(白湯)に分類されます。
清湯(チンタン)は肉のたんぱく質を使ってスープ自体を澄んだ色に仕上げたスープです。
一方、白湯(白湯)は豚足や豚の脂身、鶏の脚などを加えて炊き込んだスープで、脂が乳化しているということもあり、白濁しているスープです。
以上が色が澄んでいるか否かのスープ分類でしたが、他の分類方法もあります。
それは、炊き出した食材により分類するものです。
中華料理のだし(湯)の分類方法には、動物性の食材から炊き出したスープなのか、野菜から炊き出したスープなのかという分類があります。
多きく分けて以下の分類があります。
・動物性食品から取ったスープ「葷湯(ホウタン)」
・野菜から取ったスープ「素湯(スウタン)」
以下で解説して行きます。
葷湯(ホウタン)には以下の種類があります。
・清湯(チンタン)
・鶏湯(ジータン)
・毛湯(マオタン)
・白湯(バイタン)
・肉湯(ロウタン)
・干貝湯(ガンベイタン)
清湯は鶏肉や豚肉で炊き出した澄んだスープを指します。鶏湯は鶏肉や鶏ガラで炊き出した鶏の要素満載のスープです。
毛湯は豚肉や豚骨、鶏肉や鶏ガラで炊き出したスープで、中華ではかなり汎用性が高いスープです。ラーメンでも一般的に使われています。
白湯は、毛湯の材料の中に豚の脂身、豚足、鶏の脚を加えたスープを指します。
肉湯は豚肉、豚骨を使って炊き出したスープで、鶏湯の豚バージョンという位置づけのスープです。
干貝湯は貝柱を使用したスープで、コハク酸系の魚介が利いた旨味が特徴のスープです。
一方、畜肉を使用しない素湯(スウタン)には以下の種類があります。
・香菇湯
・豆芽湯
・蔬菜湯
香菇湯はしいたけを原材料に炊き出したスープを指し、豆芽湯は豆もやしから炊き出したもの、蔬菜湯は野菜2~3種のとり合わせで炊き出したスープを指します。
抽出する旨味が異なるので、中華料理のアレンジには全て欠かせない要素なのです。
今回は世界の「だし」や「スープ」についてざっくりと解説しました。
海外のメニューを食べると必ず手の込んだ料理には「だし」が使われています。その歴史的背景や作り方などに注目すると飲食店に行くのが楽しくなるかもしれません。
是非参考にしてみてくださいね。